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ジブリの皮を被った何か。『思い出のマーニー』の感想(ネタバレはなし)

『 思い出のマーニー 』の試写会に行ってきましたので、その感想です。その前に恒例のあらすじ。 少女杏奈は自分の殻に閉じこもったまま、海沿いの村にある誰もいない屋敷で暮らしていた。そんなある日、彼女の前に青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニーが姿を見せる。その出会い以来、杏奈の身の回りでは立て続けに奇妙な出来事が起きるようになるが、それは二人だけの秘密だった。 『シネマトゥデイ』より引用    そして鑑賞前の注意点をいくつか。 ・ いつものジブリ作品だと思って鑑賞してはいけない。ミステリー色が強め ・ ストーリーの構成が少し複雑で大人向け。 前半中盤では物語に盛り上がりがないため、子どもには退屈かも ・ ホラー要素も少しある ため、お子さんが泣いてしまう可能性がある ・ 主人公が少し精神的に不安定(思春期ということや設定を考えても) なためそれを許容できるかどうか まあ、こんなところです。 個人的な点数としては70点ぐらいです。しかし作品の内容が70点( 物語後半のとあるキャラクターによる説明口調での、物語の謎に対する答え合わせはいただけない )であって、作品外のジブリの事情? 的なところも加味してみると85点ぐらいまで伸びます。 今作はやたらと過去の宮崎駿監督の作品をオマージュしたような場面が見られます。 『となりのトトロ』での畑のシーンや冒頭のシーンは『千と千尋の神隠し』を彷彿とさせます。登場キャラクターの外見も主人公の杏奈はハイジっぽく見えますし、ヒロイン? のマーニーはクララっぽいです(宮崎駿は『アルプスの少女ハイジ』では場面設定と画面構成を担当。演出は『かぐや姫の物語』の高畑勲)。アルムのおんじっぽいキャラクターも出てくるので意識はしてるんだと思います。 そして、ネタバレになるのであまり触れられませんが、 物語的には杏奈がそのような宮崎駿や高畑勲のオマージュで固められ設定された舞台で色々な事を経験し、そこから卒業するような形 です。私にはこの作品の制作者たちが 「もうスタジオジブリには宮崎駿はいない。俺たちがスタジオジブリの未来を作っていくんだ!」 というメッセージを今作にこめたんじゃないかと推測するんですが、実際はどうなんでしょう? というように 推測しながら鑑賞すると、より楽しめるかも しれ

大泉洋と劇団ひとりがまるで本当のコンビみたい。『青天の霹靂』試写会感想。

先日、『青天の霹靂』の試写会に行ってきましたので、その感想でも。 劇団ひとりの監督デビュー作 でそこそこの注目を集めている 『青天の霹靂』 。個人的には可もなく不可もない作品で、点数で言えば厳しく見て65点ぐらい。 場末のマジックバーで働く、さえないマジシャンの轟晴夫(大泉洋)。ある日、彼は10年以上も関係を絶っていた父親・正太郎(劇団ひとり)がホームレスになった果てに死んだのを知る。父が住んでいたダンボールハウスを訪れ、惨めな日々を生きる自分との姿を重ね合わせて涙する晴夫。すると、突如として青空を割って光る稲妻が彼を直撃する。目を覚ますや、40年前にタイムスリップしたことにがくぜんとする晴夫。さまよった果てに足を踏み入れた浅草ホールで、マジシャンだった父と助手を務める母(柴咲コウ)と出会い……。                           [シネマトゥデイより引用] あらすじは以上の通り。  映像面の特徴としては、 カメラの長回しと遠景シーンが多い印象 。役者の顔を長く映したり、街並みを遠くから見せたり。もうすこし少なくしてもいいんじゃないかなとは思いました。そのせいで物語後半で少しダレました…。ただ、 大泉洋が演じる春夫がマジシャンという職業のため、手品を見せるには長回しが必要なのも確か で、その辺りのバランスが難しかったかなとも思います。 ストーリー自体は至ってシンプル 。シンプルすぎて先が読める展開も。これを 王道とみるかありきたりとみるかによって評価が分かれる と思います。あとは 物語終わりのどんでん返しを許容できるかどうか 。私は 現代に返ってから春夫の成長具合を見たかった のですが、そのあたりは描かれていなくて残念かなと。2時間の尺をとって、父親と母親の出会いを丁寧に描く・精神的に成長した春夫を現代の時間軸で見せる、の2つを描いていればもっと感動できたかなと。 見どころは春夫の手品シーン かな。 CG等の技術を使わず 、全て大泉洋自身が行っているのが普通にすごいです。4ヶ月練習したとのことですが、4ヶ月でここまで出来るのかと驚きました(トレーナーはついているけども)。 出演者で気になったのは劇団ひとりが演じる必要があったのかということ。 劇団ひとり演じる正太郎が助手の妻にほっぺたをビンタされるシーンが、